ギャンブル等依存症対策推進基本計画案に対する意見書(あとがき)

 ギャンブル問題のある当事者、家族の支援をやってきました司法書士の伊東弘嗣です。

 さて、先日提出した掲題の意見書のうち、自分で書きながらも言葉足らずで満足できないでいた点のうちの一つの見直しです。

 その点は、家族申告制度についてです。

 確かに、必要性の点からすると、家族申告制度は必要と言えるでしょう。しかし、許容性の面から言うとどうなんでしょう。

 思うに、本人の意思決定を制限する制度として、民法上成年後見制度があります。かかる制度は、本人の判断能力が低下し、自己の財産を自ら守ることが困難となった際に、法の定める要件のもと、本人の財産を他人が管理することを認めるものです。

 この点、判断能力が低下した場合であっても、第三者が本人の財産管理をするためには、法の定める要件を満たさなければなりませんし、殊に、判断能力の低下が少ない補助制度に至っては、申立て自体に本人の同意が必要です。これは、申立て自体への本人の意思決定を尊重していることにほかなりません。

 本人の財産管理権限を制限する成年後見制度の建付け、殊に判断能力の低下の程度の少ない場合の建付けからすれば、判断能力が低下しているとは必ずしも言えない本人(ギャンブル依存症=補助相当と言ってもいいかもしれませんが。)がギャンブルにお金を使えなくするようにするにもまた、本人の同意が必要となるはずです。それを家族の一存でできるようにしてしまうのは、必要性を強調しすぎだと感じます。

 なお、家族の生活を守らないといけないというご意見もあろうかと思います。家族の生活を守るためには、婚姻費用分担請求をして、任意弁済なければ債務名義で給与を差押え続ける、という方法によるのかな、と思いますが、そこまでに至った経験はありません。

 うーん、まだ舌足らずですね。自分一人で考えるのは今のところ、ここらあたりが限界のように思います。

 また、思いつきで追記していきたいと思います。

伊東弘嗣の司法書士事務所

新大阪・西中島界隈にある事務所です。司法書士・社会福祉士・行政書士・もうすぐで社労士・大学生である伊東弘嗣がその知識と経験を活かして様々な問題解決・改善のサポートをします。

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