法41条2号の管理監督者について

司法書士の伊東弘嗣です。

労働基準法41条2号の管理監督者は、労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されます。

これは例えば、法32条の法定労働時間(40時間/週(特例事業は44時間/週)、8時間/日)を越えて働かせても違法でないということです(休憩なし、休日なしもオッケー)。

そして、管理監督者であれば、割増賃金も発生しません。

なぜなら、割増賃金について定める法37条は、法定労働時間の存在を前提にしているためです(37条は、33条、36条1項を前提とし、33条と36条1項は32条から32条の5までを前提とし、32条の2から32条の5は32条の例外という条文の建付け。)。

もっとも、割増賃金は発生しないとしても、所定労働時間を超えた延長労働時間に対しては、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」(37Ⅰ参照)の賃金は発生しないのでしょうか?

これは、そもそも管理監督者に所定労働時間が観念できるのかの問題です。

「多店舗展開する小売、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(平成20年9月9日基発0909001号)」を見ると、管理監督者に所定労働時間はないようです。

もっとも、労働時間に対する賃金が一般労働者の賃金と同等以下などの事情があれば、途端に管理監督者でなくなり、一般労働者扱いになるようです。

なお、管理監督者であっても、就業規則に始業終業の時刻、休憩時間の記載は必要です(法41条は管理監督者につき法89の適用を除外していない。昭和23.12.25基収4281号も同旨)。

所定労働時間がないのであれば、フレックスタイム制のように「始業終業の時刻は労働者の決定にゆだねる」と規定すれば足りるのか?また、「休憩時間はない」と規定すればよいのか?

仮に、「始業終業の時刻は労働者の決定にゆだねる」で足りるとしても、管理監督者も年休は取得できますので、フレックスタイム制の場合と同じように「標準となる一日の労働時間」を決めるのか?また、深夜割増の場合の「通常の労働時間の賃金の計算額」はどうやって計算するのか?

なぞは深まるばかり…。

<追記>

なお、管理監督者の場合、賃金台帳には労働時間数、延長時間数、休日労働時間数は記載しなくてよいことになっている(則54Ⅴ、昭和23.2.3基発161号)。

労働時間の管理義務が厳しく言われるようになっているこのご時世でもまかり通るのかな?

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