大阪市内に事務所を構える司法書士の伊東弘嗣です。ごみ屋敷問題は、困難事案の好例として興味を持っているテーマの一つです。令和元年5月5日付京都新聞で興味深い記事がかかれていたので、これを契機に自分なりに簡単にまとめておきたいと思います。
京都市のごみ屋敷条例は、正式には、「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例(平成26年京都市条例第20号)」という名称で、平成26年11月に施行されたようです。
そして、平成27年11月13日、全国で初めて、私有地に放置されているごみを行政代執行により強制撤去を行ったそうです(引用①「本市におけるいわゆる「ごみ屋敷」対策について」https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000201/201229/honbun.pdf)。なお、行政代執行に至るまではたくさんの労力をかけたようです(引用①の3行政代執行について)。
また、平成28年3月末時点で、ごみ屋敷と判定したのは、185世帯(引用②「京都市における不良な生活環境を解消するための支援及び措置について 平成29年8月京都市保健福祉局」http://www.toshi.or.jp/app-def/wp/wp-content/uploads/2017/08/houmu02_3.pdf)、平成30年3月末時点で210世帯(https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190505000074)もあったそうです。
そのうち、平成28年3月末時点で、130世帯(185世帯)、平成30年3月末時点で165世帯(/210世帯)で問題が解消したとのことで、8割弱が行政の介入により問題が解決したとのことです。
もっとも、問題は、この残された2割強の世帯への対応です。
京都市は、平成25年11月に部局横断的な「ごみ屋敷等対策検討プロジェクトチーム」を設置し、また、条例施行後もマンパワーの充実を図るなどの対応手段の充実を図っているとのことです(引用①)。なお、「人」が抱える生活上の課題に対応できる専門性を確保するために、「保健師」を配置しているようですが、なぜ、社会福祉士又は精神保健福祉士でなかったのか疑問に感じます。
なお、これまでの京都市のノウハウの蓄積は参考になります(以下、引用②21~22頁より)。
ごみ屋敷世帯は,複雑なリスクを抱えているので、ごみだけを取り除くことは解決になりません。
<対応・取組のポイント>
1伝え方・表現
堆積物≠「ごみ」≒「荷物」「もの」
(×)「廃棄する。」「捨てる。」「処分する。」
(〇)「整理する。」「再利用する。」「リサイクルする。」
2 人間関係の構築,キーパーソンの参画
困りごとに寄り添う形で話を聞く。
3関係機関の連携
4タイミング
ところで、調べるうちに、なかなかよさげな書籍を見つけました。
「自治体による「ごみ屋敷」対策-福祉と法務からのアプローチ-」公益財団法人日本都市センター
令和最初の勤務日の午前中の出来事でした。
伊東弘嗣司法書士事務所
代表 伊東弘嗣(司法書士・社会福祉士・行政書士・放送大学生)
大阪市淀川区西中島六丁目2番3ー507号
電話06-6476-9004
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