「依存症者を治療につなげる」を読んでみて

 新大阪・西中島界隈で司法書士と社会福祉士を兼業している伊東弘嗣です。

 依存症の問題が起きた場合、たいてい支援機関につながるのは、迷惑を被ったそのご家族の方で、迷惑をかけている張本人であるご本人は、なかなか支援機関につながりません。

 そういう問題意識の中で見つけた書籍で、かなり期待して読み進めた訳ですが…

 うーむ、チームアプローチという視点には共感できますし、実践に役立ててみたいと思いましたが、結局は直面化法をベースにしている(と読める)内容には、ちょっと共感致しかねました。

 なぜなら、直面化法は手っ取り早く介入できる方法ですが、裏を返すと他に選びうる方法がある中での直面化法の選択は、支援者の「手抜き」に他ならないと考えるからです。また、本人支援の大原則である「本人の自己決定の尊重」という観点からすると、直面化法に基づく介入は、緊急性ある場合に限られると考えるからです。

 さらに言うと、本書は、直面化法がさも効果てきめんであるかのように読めてしまう点にも引っ掛かりを感じてしまいました。

 そういう意味で少し残念な印象を受けました。でも本書の「解説」ではCRAFTの視点も触れられているので、その点も含めると個人的評価は3点(5点満点)。

 家族教室にチームアプローチの視点を取り入れてみることは、今後の展開を考えるうえで重要かなと思います。

 なお、巷では、やれインターベンションだ介入だと謳う団体も見受けられますが、その費用対効果のほどはいか程か(客観的データがあるなら是非出して欲しい!)?

 これまで依存症者に散々困らされてきたご家族にとっては、藁をも掴みたくなる気持ちで多少の費用も高くないと思ってしまう気持ちは十分理解できますが、それに乗じて冷静さを失って効果の疑わしいものに大きな出費をさせる構造は許されたものではありません。

 えっ?あなたも結構な費用取ってますでしょって?うーん、不法な額でも不当な額でもないと自負しています。国家が認める法律専門家に依頼するにはそれなりの費用が必要です。


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